fkm_y' log

技術や日常のログ

「失敗学のすすめ」…これはポストモーテム作成前に読んでおくと考え方の幅が広がる一冊だった

はじめに

失敗学のすすめ (講談社文庫)

失敗学のすすめ (講談社文庫)

業務でも障害のポストモーテムを作成する機会があるので、失敗の振り返り方を学ぶために積読していたこの本を読んでみました。

失敗の種類

この本では失敗には階層性、分類があると書かれていて、その階層や分類を見ると大まかに自分が起こした失敗はどれに属していそうか分類し、他に要因と考えられるものはないかを整理、分析するときに使えそうに思いました。

階層性

失敗には階層性が存在していることが述べられていました。顕在化した失敗は個人の責任にされがちですが、その背景も考えてみるとプロセスや仕組み、社会的な要因も考えられることがわかります。

第二章の「失敗の種類と特徴」のP96では以下のような図が載せてありました。 f:id:fkmy:20210516160555p:plain

分類

失敗原因を分類すると以下の10種類に大別できると述べられていました。これは大局的に頻度が多い失敗を分類する時や失敗要因を1つ特定した後に他要因は関係してないか冷静に確認する時にも活用できそうです。

  • 無知
  • 不注意
  • 手順の不遵守
  • 誤判断
  • 調査・検討の不足
  • 制約条件の変化
  • 企画不良
  • 価値観不良
  • 組織運営の不良
  • 未知

失敗の伝え方

客観的な失敗情報はほとんど役に立たず、主観的な情報、当事者が何を考え、どんなプロセスでミスが起きたかを知ることのほうが教訓を得られるとありました。たしかにこれは結果に対する対策ばかりに目を向けてしまうと再発防止が表面的なものばかりで背景を知らないと根本対応はし難いと思うので同意です。そして当事者から失敗情報を受け取るためにも決して批判はしないようにとも書かれていました。また本の初めに記載されていましたが、過去の失敗内容を伝える際には失敗者の実名で伝えたほうが良いとあり、聞く人の印象により残ること、聞いて興味を持った人が本人に直接聞きにいけること、失敗は隠すものではないという文化ができるとあったのでこちらも心掛けると良さそうです。

感想

ポストモーテム作成の前読んでおくと考え方の幅が広がりそうだなと思いました。また失敗の後ろ向きな面ばかりを見ずプラス面にも目を向け、分析や共有によってプラスへ転換する方法も学べる本でした。失敗について1つの方向からだけでなく様々な観点から向き合うための助けにもなりそうです。

失敗報告書の記述の仕方、構成についても記載されていましたが、失敗報告書に限らず通常の報告にも活用できる構成の作り方が記載されていました。またアイデアの練り方、組織についてなど失敗との向き合い方だけに留まらず幅広く知見を得ることができました。